・研削工具作業面の砥粒状態の評価
研削加工において,工具表面に数多く存在する砥粒の状態を計測・評価することは重要です.本研究では,砥粒の状態を「砥粒の分布状態」と「個々の砥粒の形状」と分けて考えています.
まず「砥粒の分布状態」を計測する手法として感圧紙を用いて砥粒の転写画像を取得し(図1),様々な画像処理および情報量エントロピーを用いた分布のばらつきを定量評価(数値化)する手法を検討しています.
また個々の砥粒の形状を計測する方法として偏光カメラを活用する方法を検討しています.砥粒は加工時間の経過に伴って,「割れ,破砕,あるいは脱落」を起こすと言われています.そこで偏光カメラから得られた各種画像から画像処理を活用し,個々の砥粒が加工時間の経過に伴ってどのように変化していくかを,計測・評価する手法の検討をしています.(図2)
・研磨工具開発に関する研究
研磨加工は製品や金型の仕上げ加工としてなくてはならない工程です.近年では小型化・高機能化に伴い,より微細で複雑な形状や穴・パイプの内面研磨が必要となる場合があります.本研究では,静電植毛法や,3Dプリンタを活用した研磨工具開発を検討しています.
静電植毛法とは,静電気を利用して基材と呼ばれる素材にパイル(短繊維)を植え付ける技術です.本研究では基材にワイヤ(直径1mm程度)を用いて,細径パイプ内面を研磨するための工具を開発したり,研磨したい形状に合わせた形状を3Dプリンタで作製して基材とする方法を検討しています.また工具が研磨能力や研磨機構を解明するための研磨力測定装置を開発し,研磨工具の研磨力の計測を行っています.(図3)
・補助標識の検出及び文字認識率向上手法の検討
自動運転は交通事故の低減、渋滞の解消による交通の円滑化など多くのメリットがあり関連技術の発展が望まれている分野です.本研究では市街地などの自動走行の実現に重要となってくる交通情報の認識・取得を検討しています.
特に標識を対象とし,先行研究例が少ない補助標識に関わる研究を行っています.補助標識の認識では,「補助標識がどこにあるのか?」と「書かれている内容は何なのか?」を認識する必要があります.そして得られる情報は交通ルール上重要なものになります.本研究では車両前方の情景画像から深層学習(R-CNN)を用いて補助標識がどこにあるのかを検出し、検出した画像に各種画像処理を加え,最終的に光学的文字認識(O4CR)を用いて文字認識を行う手法を検討しています.(図4)